ご挨拶
セルフ・ネグレクトは孤立死の予備軍です。セルフ・ネグレクトとは時間をかけて自分を放任することにより生命・健康・生活・安全が脅かされる状態に陥る、「緩やかな自殺」とも言えます。 複数の要因やサービスにアクセスできないことにより、助けを求める力が低下・欠如している状態になります。ご本人がその状態に気づかない場合「困っていない」と言い、支援には困難が伴いますが、自身の権利を守ることができない人を支援しないことは行政のネグレクトにもなりかねないと考えます。
地域社会で早く発見し、ご本人の意思を尊重しつつ専門職が支援することによって、より健康でQOLの高い生活につながります。私たちはこれまで文部科学省科学研究補助金により、セルフ・ネグレクトに関する研究を積み重ねてまいりました。その成果を本ホームページで皆様と共有し、さらなる研究につなげ、皆様に還元していきたいと思います。

研究代表者 岸 恵美子(きし えみこ)
東京医療保健大学東が丘看護学部/大学院看護学研究科 教授
日本赤十字看護大学大学院博士後期課程修了。看護学博士。東京都板橋区、北区で16年間保健師として勤務した後、自治医科大学講師、日本赤十字看護大学准教授、帝京大学教授、東邦大学大学院教授を経て、2025年より現職。
高齢者虐待、セルフ・ネグレクト、ゴミ屋敷、孤立死、保健師教育について主に研究。
日本地域看護学会副理事長、日本公衆衛生看護学会理事、日本看護系学会協議会理事、日本公衆衛生学会代議員、全国保健師教育機関協議会監事等、看護学の教育・研究に関わる複数の委員を務める。
千代田区高齢者障害者虐待防止推進委員会委員長、渋谷区介護保険運営協議会委員長、世田谷区生活環境保全審査会委員長等の自治体の審議会等委員を複数務める。
著書等:監修『保健学講座1~5』(メヂカルフレンド社)、編著『看護判断のための気づきとアセスメント 地域・在宅看護』(中央法規)、『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 孤立死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態』(幻冬舎新書)、『セルフ・ネグレクトの人への支援 ゴミ屋敷・サービス拒否・孤立事例への対応と予防』(中央法規)、『セルフ・ネグレクトのアセスメントとケア ツールを活用したゴミ屋敷・支援拒否・8050問題への対応』(中央法規)他。


